第4回:新規事業のアイデア出しには、「視点と手順」の理解が必要!

今回のコラムでは、「トヨタ流仕事の形(カタ)研修」の「価値創造実践編(革新の形)」について藤原講師が解説します。新たなビジネス価値の創出を求めてDX推進に取り組む企業が増えていますが、「新しい何か」を生み出す「価値創造」に苦手意識をもつ方は多いのではないでしょうか。「革新の形」は、それを打開する考え方・手法を学ぶ研修です。

PROFILE

藤原 慎太郎(ふじはら しんたろう
国立大学法人名古屋工業大学 創造工学教育推進センター 特任教授
【略歴】1982年 トヨタ自動車株式会社 入社
製造・技術部門にて現場の経験を積んだ後、カイゼンの本流であるTQM(Total Quality Management) 推進部(業務品質改善部)にて室長・主査を務める。トヨタ流マネジメントやトヨタ流カイゼン/価値創造の良さを、トヨタ社内のみならず広く世間に伝えたいという思いから、トヨタ自動車を退職後、幅広い分野で活躍。
現在は企業や教育機関にて、それぞれの特性に合わせた「トヨタ流カイゼン」教育の指導者として、「カイゼン」「問題解決」「マネジメント」等の研修にも登壇し、活躍の場を広げる。

藤原:みなさんこんにちは。講師の藤原です。このコラムでは、「トヨタ流仕事の形(カタ)研修」という新たな研修について解説しています。今回解説するのは、形(カタ)研修の中でも、最終段階の「価値創造実践編(4・革新のカタ)」についてです。

「価値創造=新たなアイデア出し」に苦手意識をもつ人は少なくありません。また多くの企業では、柔軟なアイデアを出すだけでなく、それを実行・実践できる人材を育成したいと考えています。

ちょっとここで本題に入る前に、みなさんから「なぜこの研修は、仕事で即実践できるのか?」という質問をよくいただくので、まずはそれにお答えしたいと思います。「研修は即実践できなければ意味がない」と私は常々思っていて、即仕事に生かせる研修の手法をさまざまな角度から検証してきました。そこで行き着いたのがこの研修方法です。

形(カタ)研修では、仕事を効率良く進められる方法を「見える化しながら学び」、それを「仕事で即実践できる」よう講義を進めますが、そこではQ&Aの記入形式になったオリジナルの「ツール」を多く使います。「ツール」には問題や課題を解決するために必要なQが順序立てて書かれています。そのQに対するAを、自身やチームで一つひとつ深く考えることで仕事上の解決策が洗い出せ、即、仕事につなげられる、という仕組みになっています。また、ツールはさまざまな問題・課題に応用して使うことができるのもポイントです。 過去のコラムに「トヨタ流仕事の形(カタ)研修」が生まれたきっかけとともに基本実践編を紹介しているページや、課題解決をテーマにした応用実践編を紹介したページもありますのでぜひ参考にしてください。

さて、本題である「価値創造実践編(4・革新のカタ)」研修について解説していきましょう。どんな企業や部署でも、ある程度、問題や課題が解決されると(ときには決されていなくても)、「新しい何か」に着手しなければならないというテーマが生まれます。企業が成長するためには新規事業への挑戦や新規の商品開発は不可欠だからです。

しかし「何かをしなければいけないのはわかるが、何をやればいいのか案が浮かばない」という方は多いでしょう。当たり前ですね。コロナ禍を経て常識すら変化した今の時代、新たなことへの挑戦はほとんどの企業で苦戦、暗中模索しています。また、上司と部下の価値観の差や「これまでの常識」と「これからの常識」をどう捉えるかでも考え方は変わるため、幹部や上司も「どう指示したらいいのか分からない」というのが本音ではないでしょうか。

ここでみなさんにお伺いします。

●「何か新しいこと考えてよ」

●「何か新しいアイデアはないの?」 

上司からこう言われたことがある、もしくは自分から言ったことがある方はいらっしゃいますか?どうでしょうか。

私の経験からすると、ほとんどの方が言われたことがある、もしくは言ったことがあるはずです。もちろん、新たなことを考えることは大切ですしとても良いことですが、しっかりとしたテーマが思いつかなければ、言われた方は困ってしまいます。

もし「チャンスだ。よし、一発いい案を出してやろう!」と意気込んだとしても、上司から「根拠や事例がない」「いまやるべきことは、そこではない」などとダメ出しされ意気消沈…なんてケースも多いはずです。斬新なアイデアを会議で披露し、「おお、いいね!」と皆からウケてそのノリのまま進んでも、結果が出せずに尻すぼみ…というケースはきっと皆さんの身近にもあるのではないでしょうか。

そうしたケースを多く見る中で、私はいかに「新しい何か」の「核心」に沿って価値創造を進めることが重要か、そしてその「核心」を見つけるためにはまず「目的を洗い出す」ことが重要だということに気づいたのです。

自分の会社や部署にとって、「新たな価値を生み出す目的」をしっかり理解することは、新たな事業を検証するだけでなく、既存事業の強みや市場優位性の再認識にもつながります。また上司と部下、もしくはチームでそれらの「目的」を共有することで、ブレのない効率的な価値創造が可能になります。

研修では、ツールを使って「新規事業開始時期」や「対象地域」など基本的な事項を確認しながら、新規事業の「目的」を、「価値追加」や「価値拡大」など大きく5つに分けた「目的区分」の中から選び、その目的に合った手法でアイデア出しを行っていきます。

「価値創造実践編(革新の形)研修」では、目的に合わせたアイデア出しの発想法などを学ぶことができ、
さらに新規アイデアの事業化スケジュール策定までを細かく、具体的に行います。

こうして闇雲にアイデアを出すのではなく、一つずつ根拠を「見える化」しながら「新しい何か」を探すことは、新たな価値創造の成功への最短距離を見つけることにつながります。また研修が即、仕事で活かせるよう、新規事業のアイデア出しの手法などを学んだ後、事業化へのシナリオやスケジュールの策定までを学べるのもポイントです。

さらに「価値創造」は業種・業態によって幅が大きいため、「価値創造実践編(革新の形)研修」は業種・業態に合わせてカスタマイズした内容で進めることも可能ですので、そのあたりも安心していただけると思います。もちろん、クリエイティブ系の仕事でも同様に活用することができます。

また、事業化へのシナリオなどまで考える「価値創造実践編(革新の形)研修」は、コンサルティング会社への相談と同様のように思われる方もいるかもしれません。その違いについても少しご説明しましょう。この研修の強みは「自ら考え、乗り越える力を身につける」ことです。

私は多くの企業のさまざまな相談に応えていますが、「コンサルに相談したが、うまくいかなかった」というような声を多く耳にしています。しかしそうした不満を抱える企業の問題点を紐解くと、問題・課題や解決策をすべて丸投げしてしまう点にあるように思います。そうならないためには、まず、自社内で「考える力=乗り越える力」をつけることが重要だと思うのです。

何か新しいことを生み出す作業は大変で、私自身も苦手分野の一つでした。しかし、「目的に応じた視点と手順」が重要なポイントだと気づいてからは、創造が楽しいものになりました。皆さんも一緒に、楽しむ気持ちで未来を創造しましょう。

ご質問やご相談だけでも構いません。お話を聞いた上で、最適な研修プランをご提案いたします。

まずはお気軽にお問合せください。

第3回:「カタ研修」で「課題解決」。トヨタ流「課題解決」は、未来を切り拓く!

今回のコラムでは、藤原講師が「トヨタ流仕事の形(カタ)研修」の「応用実践編(3・改革のカタ)」を解説します。応用実践編では何を学ぶのか? そしてどんなシーンに効果的なのか? など、研修のポイントを伺いました。

PROFILE

藤原 慎太郎(ふじはら しんたろう
国立大学法人名古屋工業大学 創造工学教育推進センター 特任教授
【略歴】1982年 トヨタ自動車株式会社 入社
製造・技術部門にて現場の経験を積んだ後、カイゼンの本流であるTQM(Total Quality Management) 推進部(業務品質改善部)にて室長・主査を務める。トヨタ流マネジメントやトヨタ流カイゼン/価値創造の良さを、トヨタ社内のみならず広く世間に伝えたいという思いから、トヨタ自動車を退職後、幅広い分野で活躍。
現在は企業や教育機関にて、それぞれの特性に合わせた「トヨタ流カイゼン」教育の指導者として、「カイゼン」「問題解決」「マネジメント」等の研修にも登壇し、活躍の場を広げる。

藤原: 「問題解決」と「課題解決」…とてもよく似た言葉ですね。日本語的にはどちらも同じような意味で使われたりしますが、「トヨタ流仕事の形(カタ)研修」ではあえてこの2つに線引きし、「問題」と「課題」の違いについて理解しながら研修を進めていきます。

少しおさらいすると「トヨタ流仕事の形(カタ)研修」は、「基本実践編(1・段取りのカタ)、(2・改善のカタ=問題解決ステップ)」、「応用実践編(3・改革のカタ)」、「価値創造実践編(4・革新のカタ)」の4つで成り立っています。

先回(第2回)のコラムで解説した基本実践編「段取り・実行の形(カタ)」は、仕事そのものの目的を振り返ることで問題を見いだし、それを解決して効率良く仕事を進める方法を学ぶものでした。  今回ここで解説する応用実践編「改革の形(カタ)研修」は、それより一歩進んだ「課題解決」がテーマで、ステップにおいて、さまざまな視点から考え、次の2点を学びます。

①企業や組織を取り巻く外部環境・内部環境の変化に合わせ、「あるべき姿(目指す姿)」を「自ら」設定できるようにする。

②「あるべき姿(目指す姿)」の実現に向けて各自が何をすべきか? どのように進めるか? を詳細に明確にし、関わる全員で共有できるようにする。

藤原:話を戻しますが  「問題解決」と「課題解決」、この違いは何でしょうか。「問題」「課題」の違いをわかりやすく言えば、

●「問題解決」はマイナスからゼロ(基準・標準)へ

●「課題解決」はゼロからプラス(より望ましい姿)へ 

ということです。

●「問題解決」=「改善」

●「課題解決」=「改革」 

と捉えることもできます。

「問題解決」と「課題解決」は、どちらも「現状」と「あるべき姿」の「ギャップを埋めるのが目的」という点は同じですが、「目指す姿」は明らかに違います。

これをしっかり分けて考え、見える化しながら仕事を進めることで進むべき方向を見間違うこともなくなります。

藤原:より高みを目指すには、土台から整えていくことが重要です。企業を「より望ましい姿」に改革させるためには、まずは問題解決→課題解決というステップアップが必要です。

ではここで質問です。あなたは自分の仕事や職場に当てはめて「問題」と「課題」を即座に答えられますか?どうでしょう? 特に「課題」を明確化するのは難しいのではないでしょうか。また「課題」を言うことはできても、そこにしっかりとした根拠はありますか? それは単なる思いつきではないでしょうか? 

厳しいようですが、根拠のない「課題」は絵に描いた餅にもなりがちで、失敗したり頓挫したりするケースをよく見受けます。そうした「課題」の明確化の方法の手順までしっかり学ぶことができるのも、この研修のポイントの一つになっています。

では研修で、どうやって課題解決法を明確にしていくのか、それを少しだけご紹介します。まず前提は、

「トヨタ流仕事の形(カタ)研修」の特長は仕事を効率良く進められる方法を「見える化しながら学べる」こと、そしてそれを「仕事で即実践できる」こと

ですが、この「改革の形(カタ)研修」も同様で、課題解決の重要な考え方が質問形式になった「ツール」を使いながら自分の仕事上の課題を洗い出し、即実践できるよう研修を進めていきます。「改革の形(カタ)研修」の8つのステップの第一段階は、「1.取り巻く環境の把握と課題の明確化:目指す姿(あるべき姿)の設定」です。

「ツール」を使いながら自身の目指す姿を描き出すことで

①目指す姿の実現に向け、解決すべき課題を明確にできる。

②目指す姿がはっきり見えれば、自分はもちろん、一緒に行動する人のモチベーションも上がる。

③根拠のあるはっきりとした「目指す姿」は迷ったときの拠り所となり、方向転換もしやすい。 というメリットを体得することができます。

藤原:「問題解決」の「問題」は基準・標準をクリアするためのものなので、誰でもその「目標」は理解しやすく、手順さえ共有できるようになれば足並みを揃えて進むことができます。

しかし、「課題解決」の「課題」はより望ましい「あるべき姿(新たな目標)」を「意図的に」つくり出すため、ブレが起きやすいという留意点があります。

例えばコロナ終息を目指す言葉に「ウィズコロナ」と「ゼロコロナ」がありますが、似ているようでも目指す姿は全く違います。しかし「コロナ終息」という大きなくくりの目標しか見えなかった時期は、世界中の国や人が右往左往し、さまざまな手段を試みました。これが「ブレ」です。

ブレは仕事のスピードを失速させ無駄を多くつくります。それをなくすためにも、「だれにでもわかりやすい課題づくり」と「あるべき姿(新たな目標)」の設定は重要です。

「あるべき未来」の形が見えたとき、人はその実現へ向けて正しい行動を取ることができるのです。

コロナの例はあくまでも単純なたとえですが、職場で課題解決を目指す場合、こうした共通認識をもつことは非常に重要となります。

藤原:次にステップの4番目に学ぶ「課題の体系化(課題バラシ)と対策立案」について解説しましょう。ここではまず、①課題を体系化(バラす)することの重要性を学びます。

体系化やフレームワークという言葉はビジネス上でよく使われますが、「順を追ってやるべき『重要項目』を『優先順位』に沿って書き出すこと」だと考えれば大丈夫です。

研修でもツールを使って実際に書き出して、課題の体系化を行います。こうすることで目標達成のための具体的にやるべきことを明確にでき、漏れをなくすことができます。また、②対策立案のポイントについても学びます。ここでは①で洗い出した項目の対策を考え、具体的に行動計画を立てていきますが、

これには「あるべき姿」に向けて何をすべきか仮説を立て、従来のやり方に囚われないアイデアや発想を用いることが大切になります。

「問題解決/改善」と違い、新しい課題に向かう「課題解決/改革」は細かく仮説を立てることが重要になりますが、研修ではこの仮説の立て方まで細かくレクチャーするので安心してください。

この研修を実施する上で私は「即仕事に使える研修にすること」をとても大切にしていますが、もうひとつ大切にしているのは「価値連鎖を生みだせる研修であること」です。

研修を受けた結果、受講当事者はもちろん、その先につながる部下、同僚、上司、取引先にも価値が広がるように考えて構成しています。こうしたカリキュラムの作成も、「仕事の形(カタ)」の考え方に基づいているんです。

藤原:私は仕事柄、さまざまな企業の人事・総務の担当者から

●「前例踏襲」するだけの社員をなくしたい…。

●悪いところだけを探して、モグラたたきのように場当たり解決する社風をなんとできないか???

●指示待ちの社員を減らしたいがどんな方法があるか?

というような相談をもちかけられます。多かれ少なかれ「あるある!」という企業は多いはずです。こうした悩みにも、「応用実践編(改革のカタ)研修」は効果的です。

「課題」の創出は、未来を切り拓くためには不可欠のものです。

課題を作れる人材を増やし、「課題づくりや課題解決が日常的な環境をつくること」。それこそが企業成長につながると私は考えています。

ご質問やご相談だけでも構いません。お話を聞いた上で、最適な研修プランをご提案いたします。

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第2回:トヨタ流仕事の形(カタ) 基本実践編を藤原講師が解説。仕事の悩み・困り事には「一定の法則と解決法」がある!

コラム第2回目の今回は、「トヨタ流仕事の形(カタ)研修」が生まれた背景とともに、改めてこの研修について藤原講師が解説。さらに、なぜこの研修が業種・業態関係なく役立つのか?も紐解きます。それとともに、基本実践編「段取り・実行のカタ」で学ぶ内容についても伺いました。

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藤原 慎太郎(ふじはら しんたろう
国立大学法人名古屋工業大学 創造工学教育推進センター 特任教授
【略歴】1982年 トヨタ自動車株式会社 入社
製造・技術部門にて現場の経験を積んだ後、カイゼンの本流であるTQM(Total Quality Management) 推進部(業務品質改善部)にて室長・主査を務める。トヨタ流マネジメントやトヨタ流カイゼン/価値創造の良さを、トヨタ社内のみならず広く世間に伝えたいという思いから、トヨタ自動車を退職後、幅広い分野で活躍。
現在は企業や教育機関にて、それぞれの特性に合わせた「トヨタ流カイゼン」教育の指導者として、「カイゼン」「問題解決」「マネジメント」等の研修にも登壇し、活躍の場を広げる。

「仕事の悩みは千差万別。だから解決法もそれぞれ違う?」答えはNO。悩み・困り事には「一定の法則と解決法」がある!!

藤原:仕事をしていれば、大小はあってもさまざまな悩みが出てくるのは当然です。仕事に一生懸命であればあるほど、その悩みはつきないと思います。

例えば上司なら、「仕事の指示がうまく伝わらず、手戻りが多くなってしまう」「その結果、スケジュールから遅れてしまう」。部下の立場からすれば、「どんなに頑張って企画を立てても上司とのズレや漏れが出て、やり直しになる」「関係部署から理解を得られず、仕事が進めづらい」…。こんな悩みは多いのではないでしょうか。

次のような悩みもよく耳にします。「会議が慣例化してしまい、意義を生み出しづらい」「仕事の標準化を図りたいが、やり方がわからない」「部下が何を考えているかわからず、指導法が見えない」「若い世代の『心が折れる』状態をなくしたい」…。

仕事の悩みや困り事は千差万別のように思えます。業種・業態によって違う悩みが生まれるでしょうし、それが発生するシーンもさまざまです。

しかし実はどんな業種・業態であっても、仕事上の悩み・困り事には一定の法則と解決法があり、その法則や手順をしっかり理解して場面ごとに生かすことで、悩み・困り事をなくし効率化を促進できることが、私の研究の結果から見えているのです。

そもそも、「トヨタ流仕事の形(カタ)研修」が生まれたきっかけは?

藤原:今でこそ私は大学で教鞭を執っていますが、かつてトヨタの社員時代、何度も仕事のやり直しを命ぜられ、そのたびに「なぜ、この仕事を戻されたのだろう?」「どうして、上司が指摘する部分に事前に気づくことができなかったんだろう」と自問自答するとともに、悔しい思いやストレスを感じてきました。その経験こそが、この研修を生み出した原点になっています。

私はトヨタを退職後「自分のような思いをせず、心地良く前向きに仕事ができる環境づくりをしたい。もっと皆が幸せに働ける就労環境をつくりたい」と、こうした研究を始めた訳です。

そして研究を通して数多くの職場視察や経営者への個別相談を行い、そこから見えた悩み・困り事を解決するためにまとめたのが「トヨタ流仕事の形(カタ)研修」なんです。

これを読んでおられるのは、企業の総務・人事職の方や、どうやって社員を教育したらよいか迷っている・悩んでいるという方が多いと思います。

そして一番気になるのは、「製造業である『トヨタ流』を使ったこの研修が、自社・自業務にうまく当てはまるのか?という」という部分ではないでしょうか。

答えから言えば、YESです。アプローチ法こそ違いますが、仕事にとって肝要となるのは「その仕事のそもそもの目的に立ち返り、最適な方法を決める」ことと「仕事のシーンに合わせて重要な視点と手順を使う」ことの2つです。

もう一つ、「上司や関係部署といかに共通認識を持って仕事を進める」ことも、しっかり押さえるべきポイントです。

トヨタと言えば「トヨタ生産方式(TPS)」「カイゼン」「ジャスト・イン・タイム(JIT)」などが世界的に知られ、そのノウハウはさまざまな企業に導入されています。そしてその要素はこの研修にも多く取り入れられています。

ですが目標値がはっきりわかりやすいモノづくり系(研究、開発、設計、生産技術、製造など)と、営業・販売・クリエイティブ系とでは、扱う相手とPLANとDO段階でのアプローチ方法が大きく異なるため、それも研修では学んでいきます。

考察1「仕事の進め方」モノづくり系

藤原:たとえば、モノづくり系では「モノ」に対して「バラツキをできるだけ抑える方向」で仕事を進めることが重要です。またモノづくり系は「目標値が明確」であるがゆえに「そもそもの目的」を忘れがち。研修を通じ目的に立ち返ることで、さらに良い方法を考えることができますし、「誰のために、どんな価値を提供するべきか?」を考えることでモチベーションアップにもつながります。また環境変化にも柔軟に対応できるようになります。

考察2「仕事の進め方」営業・販売・クリエイティブ系

藤原:一方で営業・販売・クリエイティブ系では相手が「人」であることが多く、「バラツキを前提として一人ひとりまたはターゲット層に合わせたアプローチ」が必要になってきます。

しかし営業系では、人に対する柔軟性を高めることに注力してしまい、事前の課題やリスクの洗い出しなどが手薄になりがちに。企画が頓挫して振り返ると、PDCAのPDだけや、Dだけができていて、その他が実行できなかったという場面も多く見られます。こうした点も研修ではチェックします。 クリエイティブ系の仕事では、新しい価値を創造する、アイデアを発想するということが求められます。私自身アイデアを出すのがとても苦手でした。いつも誰かのマネをする、ノウハウ本やマニュアルに頼った時代もありました。ですがそうした本を多く読むうちに、発想にも「目的に応じた視点と手順」があることに気づき、それらは応用編「革新のカタ」で学ぶことができます。

「トヨタ流仕事の形(カタ)研修」は、「カタ」と「ツール」の組み合わせまず、基本実践編で学べることとは?

藤原:「トヨタ流仕事の形(カタ)研修」は、トヨタで使われている効率的な仕事を進めるノウハウに加え、業種・業態は違っても、ほとんどの仕事に共通する「考えておかなければならない仕事の項目」を「段取り・実行(基本実践)」「改善(問題解決)」「改革(課題解決)」「価値創造」の4つの「カタ」に分け、それぞれに細かく「ツール」を用意しているのが大きな特長です。

そして各「ツール」を使って演習しながら、悩み・困り事の「根本」の部分を「見える化」し、スピーディーで質の高い仕事の実現へと導きます。

1番始めに学ぶ基本実践編「段取り・実行のカタ」には

●企画段階

●仮説・検証段階

●指示を出す・受けるとき

●報連相の進め方

…など仕事のシーンごとに分けられた「ツール」が8つ用意されており、「ツール」の中には質問形式で、考えておかなければならない事柄がまとめられています。

まさに「ツール」の質問の中には、仕事で起こると予測される「悩みの元」が網羅され、「今、悩んでいること・困っていること」に即座に当てはめて考えることができます。「社員研修をしても、その成果を体感したことは少ない」と聞くことがありますが、この研修が目ざしているのは「実践・実戦」が可能であること。研修で学んだ各「ツール」は、翌日からでもすぐに自分の仕事に活かすことができます。

「ツール」で、「考え方を標準化」し「問題を見える化」する

藤原:もう少しだけ、具体的に見ていきましょう。

たとえば、仕事の企画段階で使用する「ツール」の「企画メモ」には、企画段階で考えておくべき仕事の目的・背景からリスク対応などまでの15の項目があげられており、それを質問に沿って一つずつ書き出すことによって「この仕事は何のためにするのか、どう動けば良いのか」がしっかり理解でき、上司や関係部署ともしっかり共通認識することができるようになっています。まさに考え方の「見える化」です。

職場で、こんな失敗を耳にしませんか?「パワーポイントなどで企画書を綺麗にまとめたのは良いが、実働段階になるとうまく進まない」というパターン。見映えの良い文言と図説が並ぶ企画書通りにコトが運べば良いのですが、その通りにならないことは多くあります。

ですがその企画が頓挫する、思うように進まないという場合、企画書には押さえなければならないポイントや、共通認識のために必要な項目が抜けていることがほとんどです。そうした間違いを、「ツール」の使用でなくすことができ、質の高いスピーディーな仕事へとつなげられるのです。また「ツール」にはできるだけ短時間でPDCAを実践できる工夫もなされています。

「目的と手段」を間違えると、仕事の方向性がずれるどころか、その企業や部署の進むべき方向性すら危ぶませてしまいます。そういった危険も、この「ツール」を使うことで見直しでき、回避できます。「トヨタ流仕事の形(カタ)研修」は「考え方の標準」を学び、それを「見える化」して、即職場で生かすことができるようにする研修と言えます。

例えれば、パソコンのOSを入れ替えたり使い勝手の良いアプリケーションを導入したりして仕事の効率化を図るように、自分の頭の中に「「トヨタ流仕事の形(カタ)」という最新バージョンのOSと、アプリケーションとして使える「ツール」を組み込み、理路整然と仕事を進めやすいようにするのです。また、それを職場全体で使うことで共通認識が生まれ、手戻りを少なくしながら仕事を進めることができます。

みんなで幸せに仕事を進めるために…。

藤原:実際に研修を受けた方からはこんな声を頂きます。

●本当のお客さまは誰なのか、何のために仕事をするのか、改めて振り返ることができ、仕事のモチベーションアップにつながった。

●「ツール」にあるような切り口で、順を追って仕事を進める習慣がなかった。研修で学んだ「ツール」を活かしたところ、仕事効率がぐっと上がった。

●管理職をしているが、「ツール」を部下と共有することで指導しやすくなった。

●人材育成のスピードを上げることができると実感した。

一昔前までは「幸せになるために、先に苦労をする」という時代でした。

でも今は違います。すべての人が「いま」幸せになるために、どう仕事をすればうまくいくのかを考える時代です。働き方改革が進んだことで、時間を効率的に使わなければ仕事が回らず、上司や先輩にOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)をする時間がない、という悩みもよく耳にします。

こうした問題を、「トヨタ流仕事の形(カタ)研修」で解決し、幸せを感じられる職場づくりをめざしてみませんか。

第3回コラムでは「応用実践編」、第4回では「価値創造実践編について詳しく解説します。

ご質問やご相談だけでも構いません。お話を聞いた上で、最適な研修プランをご提案いたします。

まずはお気軽にお問合せください。

第1回:トヨタ流研修の目的とは?講師が詳しく解説

トヨタが今まで培ってきた仕事の進め方をまとめた「トヨタ流仕事の形(カタ)」が研修として誕生しました。新入社員から管理職まで、一丸となって成功に向けて進む方法を提供しています。
研修内容について、開発者の藤原講師の声をインタビュー形式でお届けいたします。

PROFILE

藤原 慎太郎(ふじはら しんたろう
国立大学法人名古屋工業大学 創造工学教育推進センター 特任教授
【略歴】1982年 トヨタ自動車株式会社 入社
製造・技術部門にて現場の経験を積んだ後、カイゼンの本流であるTQM(Total Quality Management) 推進部(業務品質改善部)にて室長・主査を務める。トヨタ流マネジメントやトヨタ流カイゼン/価値創造の良さを、トヨタ社内のみならず広く世間に伝えたいという思いから、トヨタ自動車を退職後、幅広い分野で活躍。
現在は企業や教育機関にて、それぞれの特性に合わせた「トヨタ流カイゼン」教育の指導者として、「カイゼン」「問題解決」「マネジメント」等の研修にも登壇し、活躍の場を広げる。

【新作研修】トヨタ流仕事の形(カタ)研修は、トヨタ流の問題解決研修とどう違うのですか?

藤原:一言で言うと、トヨタ流仕事の形(カタ)研修は使う場面が格段に多いということです。トヨタと言えば問題解決の8ステップが有名で、自ら問題に気づいて解決し続ける社員を生み出し、組織を日々進化させています。もちろん問題解決の考え方や手法などは非常に重要かつ有益ですが、それだけでは仕事はできません。特に最近は目の前の問題を解決すること以外の仕事も多くなってきていますよね。

トヨタ流の問題解決では要因解析、いわゆる「なぜなぜ分析」が重要ですが、何か新しいことをやる、従来から大きく変えるといった企画的な仕事では新しいアイデアが必要になる場面が多くなります。トヨタでは「問題解決」や「自工程完結」など仕事の仕方を形式知化し全社教育も行っていますが、一方で、実は「課題解決」や「価値創造」といった仕事の仕方は依然暗黙知になっているものが多く存在していることに気づきました。でもトヨタ自動車をはじめとするトヨタグループで働く人たちに共通する考え方、特に仕事のできる人がやっている考え方、いわゆるトヨタ流は確実に存在します。今回はこれらを見える化し、研修として多くの方にお伝えできるようにしました。また、2024年始のリリースを目指して、仕事の形(カタ)と問題解決の基本を一日間で学べる、新たな研修プログラムも現在開発中です。

「仕事の進め方」や「段取り」を学ぶ研修は他の研修会社にもありますが、「トヨタ流仕事の形(カタ)研修」の特徴は何ですか?

藤原:トヨタのDNAと言われているTPS(トヨタ生産方式)やTQM(総合的質管理)の考え方に基づいて、仕事をうまく進めるための視点や手順が盛り込まれているところが、研修の最大の特徴なんです。

これらのDNAは元々ものづくりの領域で生まれましたが、それを製造部門以外のスタッフの仕事に適用できるように改良しました、というと聞こえがいいのですが、本当のところは製造部門以外でも、トヨタの人はある程度自然にやっていました。ですが、先ほどお話したようにその多くが暗黙知だったんです。

例えばTPS(トヨタ生産方式)の考え方の柱である「JIT(ジャスト・イン・タイム)」は、各工程が必要なものだけを、流れるように停滞なく生産すること。そのために「ムダ・ムラ・ムリの排除」「改善」「源流(発生源)対策」「標準化」「考える人づくり」などが行われるのですが、生産ラインと製造部門以外のスタッフの仕事では全く同じではないですよね。生産ラインでは仕事の目的と目標、作るものは明確です。一方で製造部門以外のスタッフはそこから考えないといけない。目的ってどうやって考えたらいいのか?私も教えてもらったことはありません。目的を間違えればそれこそムダになります。製造部門以外のスタッフの仕事ならではのことが他にもたくさんあります。そこで仕事のいろいろなシーンにおいて、具体的に何を考えればよいのか?何をすればよいのか?を徹底的に見える化したもの、それが「トヨタ流仕事の形(カタ)」です。

トヨタ出身の役員からは「仕事の形(カタ)の内容って当たり前のことだよね?」と言われたこともあります。役員にとっては当たり前でも、私と同じように当たり前ではない!と思った方も多いのではないでしょうか(笑)

製造業や製造現場以外の職種でも、研修効果はあるのでしょうか?

藤原:もちろんです。これまでの研修の実績から放送業や官公庁など製造業に限らず幅広い業種の方々に、「これは使える!」「もっと早く知りたかった」と言っていただいています。仕事を上手に進めるためのコツって共通要素が多いんですよね。私自身もこのことに早く気づいていれば、もっとお客様や組織に貢献できたのにと少し残念に思っています。

ビジネススキル系の研修を受講しても、自業務における実践につながらないイメージがあるのですが…

藤原:「研修で学んだことを実際の仕事のどの場面でどのように活かすのか?というイメージがわきにくいこと」ってありませんか?これが一番の理由だと思っています。一般的に社員研修では「コミュニケーション」や「ロジカルシンキング」「リスクマネジメント」など特定の領域に絞ったものが多いと感じています。それぞれの講師の得意分野の研修になっているんですよね。でも実際の仕事の場面では、それらを複合的に使わないといけない。学んだものが頭の中でつながらないんです。かつての私がまさにそれでした。

ここを何とかしたいと考えたのが、仕事の軸です。仕事の基本プロセス、いわゆる手順って何だろう?やっぱりPDCAじゃないのか?ということです。PDCAはもう古いと言われることもありますが、基本はやっぱりPDCAだと思っています。環境変化の激しい時代、PDCAサイクルを回すスピード感がこれまで以上に求められているんだと思います。

私はアクションRPGというジャンルのゲームが好きですが、まずはP、大きく攻略法を考えて戦う、でも相手も臨機応変に攻撃してくる。そこで小さなPDCAを素早く回して修正していく、実際の仕事もこんな感じじゃないでしょうか?まさにスピーディにPDCAサイクルを回さないと一向に進んで行けません。なんと6ヶ月間ゲームをクリアできず、負け続けたってこともあります(笑)。

「仕事の形(カタ)研修」ではもうひとつ工夫しています。研修の中に演習があるのですが、講師から提供するケースではなく、受講者ご自身の仕事をテーマに取り上げていただくことで、そのまま持ち帰って仕事に活かせるようにしました。

自社でも既にカイゼンや問題解決に取り組んでいますが、組織全体への浸透が課題です。おすすめの研修プログラムはありますか?

藤原:研修自体を目的化するのではなく、「実際の仕事を進めるために、研修を手段として活用する」という進め方が一番重要です。例えば受講者自身が重点テーマを決め、それを実践するために研修を行うといった進め方をすれば、おのずと成果につながります。

研修としては重点テーマの内容に即したものを選択する必要があります。そこでニーズに応じて最適なプログラムにカスタマイズさせていただいていますが、そこで新たな仕事の形(カタ)のツールが生まれることも多々あります。

あわせて上司に適切な指導をしていただくためにも、組織全体で研修の内容を理解していただくことも重要です。いわゆる共通言語化するということですね。

「トヨタ流仕事の形(カタ)」の理解が深まる、おすすめの書籍はありますか?

藤原:2023年12月に日科技連出版社から関連書籍を発刊しました。トヨタのDXの取組みと心理的安全性、そして仕事の形(カタ)について説明しています。一見関係がなさそうに見えますが、実はお互いに密につながっているんです。

トヨタ流DXを支える心理的安全性と仕事のスピードアップを実現する 2つのカタ: 若手に響く「ものの言いカタ」と「仕事の進めカタ」 | 藤原 愼太郎 |本 | 通販 | Amazon

ホームページには、新作研修【トヨタ流】仕事の形(カタ)シリーズの「基本実践編(段取り・実行のカタ)」、「応用実践編(改革のカタ:課題解決ステップ)」、「価値創造実践編(革新のカタ:価値創造型事業(商品)企画ステップ)」など様々な研修が掲載されています。それぞれどう違うのですか?

藤原:一言で言うと使う目的が違います。基本実践編は最も使う頻度が高く、すべてのカタの基本となる「段取り・実行のカタ」、普段の仕事の多くにこのカタが使えます。

応用実践編は「段取り・実行のカタ」をベースに、全社的な課題など高い目標に向けて取り組むテーマを対象とした「改革のカタ」。そして価値創造実践編は、その名の通り新商品・新サービス・新規事業を考えるための「革新のカタ」です。

これに従来からあった「問題解決ステップ(改善のカタ)」を加えた4つのカタで、かなりの仕事の範囲をカバーできると思っています。

第2回コラムでは「基本実践編(段取り・実行の形)」の研修内容と、研修で使用するツールについて詳しく解説します。※第3回は「応用実践編」、第4回は「価値創造実践編」の解説を予定しています。

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