株式会社トヨタエンタプライズ

第3回:「カタ研修」で「課題解決」。トヨタ流「課題解決」は、未来を切り拓く!

カテゴリー:

仕事の形(カタ)

キーワード:

DX研修価値創造問題解決心理的安全性課題解決

2024.02.16

今回のコラムでは、藤原講師が「トヨタ流仕事の形(カタ)研修」の「応用実践編(3・改革のカタ)」を解説します。応用実践編では何を学ぶのか? そしてどんなシーンに効果的なのか? など、研修のポイントを伺いました。

PROFILE

藤原 慎太郎(ふじはら しんたろう
国立大学法人名古屋工業大学 創造工学教育推進センター 特任教授
【略歴】1982年 トヨタ自動車株式会社 入社
製造・技術部門にて現場の経験を積んだ後、カイゼンの本流であるTQM(Total Quality Management) 推進部(業務品質改善部)にて室長・主査を務める。トヨタ流マネジメントやトヨタ流カイゼン/価値創造の良さを、トヨタ社内のみならず広く世間に伝えたいという思いから、トヨタ自動車を退職後、幅広い分野で活躍。
現在は企業や教育機関にて、それぞれの特性に合わせた「トヨタ流カイゼン」教育の指導者として、「カイゼン」「問題解決」「マネジメント」等の研修にも登壇し、活躍の場を広げる。

藤原: 「問題解決」と「課題解決」…とてもよく似た言葉ですね。日本語的にはどちらも同じような意味で使われたりしますが、「トヨタ流仕事の形(カタ)研修」ではあえてこの2つに線引きし、「問題」と「課題」の違いについて理解しながら研修を進めていきます。

少しおさらいすると「トヨタ流仕事の形(カタ)研修」は、「基本実践編(1・段取りのカタ)、(2・改善のカタ=問題解決ステップ)」、「応用実践編(3・改革のカタ)」、「価値創造実践編(4・革新のカタ)」の4つで成り立っています。

先回(第2回)のコラムで解説した基本実践編「段取り・実行の形(カタ)」は、仕事そのものの目的を振り返ることで問題を見いだし、それを解決して効率良く仕事を進める方法を学ぶものでした。  今回ここで解説する応用実践編「改革の形(カタ)研修」は、それより一歩進んだ「課題解決」がテーマで、ステップにおいて、さまざまな視点から考え、次の2点を学びます。

①企業や組織を取り巻く外部環境・内部環境の変化に合わせ、「あるべき姿(目指す姿)」を「自ら」設定できるようにする。

②「あるべき姿(目指す姿)」の実現に向けて各自が何をすべきか? どのように進めるか? を詳細に明確にし、関わる全員で共有できるようにする。

藤原:話を戻しますが  「問題解決」と「課題解決」、この違いは何でしょうか。「問題」「課題」の違いをわかりやすく言えば、

●「問題解決」はマイナスからゼロ(基準・標準)へ

●「課題解決」はゼロからプラス(より望ましい姿)へ 

ということです。

●「問題解決」=「改善」

●「課題解決」=「改革」 

と捉えることもできます。

「問題解決」と「課題解決」は、どちらも「現状」と「あるべき姿」の「ギャップを埋めるのが目的」という点は同じですが、「目指す姿」は明らかに違います。

これをしっかり分けて考え、見える化しながら仕事を進めることで進むべき方向を見間違うこともなくなります。

藤原:より高みを目指すには、土台から整えていくことが重要です。企業を「より望ましい姿」に改革させるためには、まずは問題解決→課題解決というステップアップが必要です。

ではここで質問です。あなたは自分の仕事や職場に当てはめて「問題」と「課題」を即座に答えられますか?どうでしょう? 特に「課題」を明確化するのは難しいのではないでしょうか。また「課題」を言うことはできても、そこにしっかりとした根拠はありますか? それは単なる思いつきではないでしょうか? 

厳しいようですが、根拠のない「課題」は絵に描いた餅にもなりがちで、失敗したり頓挫したりするケースをよく見受けます。そうした「課題」の明確化の方法の手順までしっかり学ぶことができるのも、この研修のポイントの一つになっています。

では研修で、どうやって課題解決法を明確にしていくのか、それを少しだけご紹介します。まず前提は、

「トヨタ流仕事の形(カタ)研修」の特長は仕事を効率良く進められる方法を「見える化しながら学べる」こと、そしてそれを「仕事で即実践できる」こと

ですが、この「改革の形(カタ)研修」も同様で、課題解決の重要な考え方が質問形式になった「ツール」を使いながら自分の仕事上の課題を洗い出し、即実践できるよう研修を進めていきます。「改革の形(カタ)研修」の8つのステップの第一段階は、「1.取り巻く環境の把握と課題の明確化:目指す姿(あるべき姿)の設定」です。

「ツール」を使いながら自身の目指す姿を描き出すことで

①目指す姿の実現に向け、解決すべき課題を明確にできる。

②目指す姿がはっきり見えれば、自分はもちろん、一緒に行動する人のモチベーションも上がる。

③根拠のあるはっきりとした「目指す姿」は迷ったときの拠り所となり、方向転換もしやすい。 というメリットを体得することができます。

藤原:「問題解決」の「問題」は基準・標準をクリアするためのものなので、誰でもその「目標」は理解しやすく、手順さえ共有できるようになれば足並みを揃えて進むことができます。

しかし、「課題解決」の「課題」はより望ましい「あるべき姿(新たな目標)」を「意図的に」つくり出すため、ブレが起きやすいという留意点があります。

例えばコロナ終息を目指す言葉に「ウィズコロナ」と「ゼロコロナ」がありますが、似ているようでも目指す姿は全く違います。しかし「コロナ終息」という大きなくくりの目標しか見えなかった時期は、世界中の国や人が右往左往し、さまざまな手段を試みました。これが「ブレ」です。

ブレは仕事のスピードを失速させ無駄を多くつくります。それをなくすためにも、「だれにでもわかりやすい課題づくり」と「あるべき姿(新たな目標)」の設定は重要です。

「あるべき未来」の形が見えたとき、人はその実現へ向けて正しい行動を取ることができるのです。

コロナの例はあくまでも単純なたとえですが、職場で課題解決を目指す場合、こうした共通認識をもつことは非常に重要となります。

藤原:次にステップの4番目に学ぶ「課題の体系化(課題バラシ)と対策立案」について解説しましょう。ここではまず、①課題を体系化(バラす)することの重要性を学びます。

体系化やフレームワークという言葉はビジネス上でよく使われますが、「順を追ってやるべき『重要項目』を『優先順位』に沿って書き出すこと」だと考えれば大丈夫です。

研修でもツールを使って実際に書き出して、課題の体系化を行います。こうすることで目標達成のための具体的にやるべきことを明確にでき、漏れをなくすことができます。また、②対策立案のポイントについても学びます。ここでは①で洗い出した項目の対策を考え、具体的に行動計画を立てていきますが、

これには「あるべき姿」に向けて何をすべきか仮説を立て、従来のやり方に囚われないアイデアや発想を用いることが大切になります。

「問題解決/改善」と違い、新しい課題に向かう「課題解決/改革」は細かく仮説を立てることが重要になりますが、研修ではこの仮説の立て方まで細かくレクチャーするので安心してください。

この研修を実施する上で私は「即仕事に使える研修にすること」をとても大切にしていますが、もうひとつ大切にしているのは「価値連鎖を生みだせる研修であること」です。

研修を受けた結果、受講当事者はもちろん、その先につながる部下、同僚、上司、取引先にも価値が広がるように考えて構成しています。こうしたカリキュラムの作成も、「仕事の形(カタ)」の考え方に基づいているんです。

藤原:私は仕事柄、さまざまな企業の人事・総務の担当者から

●「前例踏襲」するだけの社員をなくしたい…。

●悪いところだけを探して、モグラたたきのように場当たり解決する社風をなんとできないか???

●指示待ちの社員を減らしたいがどんな方法があるか?

というような相談をもちかけられます。多かれ少なかれ「あるある!」という企業は多いはずです。こうした悩みにも、「応用実践編(改革のカタ)研修」は効果的です。

「課題」の創出は、未来を切り拓くためには不可欠のものです。

課題を作れる人材を増やし、「課題づくりや課題解決が日常的な環境をつくること」。それこそが企業成長につながると私は考えています。

ご質問やご相談だけでも構いません。お話を聞いた上で、最適な研修プランをご提案いたします。

まずはお気軽にお問合せください。

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