株式会社トヨタエンタプライズ

第4回:新規事業のアイデア出しには、「視点と手順」の理解が必要!

カテゴリー:

仕事の形(カタ)

キーワード:

DX研修価値創造問題解決心理的安全性課題解決

2024.04.01

今回のコラムでは、「トヨタ流仕事の形(カタ)研修」の「価値創造実践編(革新の形)」について藤原講師が解説します。新たなビジネス価値の創出を求めてDX推進に取り組む企業が増えていますが、「新しい何か」を生み出す「価値創造」に苦手意識をもつ方は多いのではないでしょうか。「革新の形」は、それを打開する考え方・手法を学ぶ研修です。

PROFILE

藤原 慎太郎(ふじはら しんたろう
国立大学法人名古屋工業大学 創造工学教育推進センター 特任教授
【略歴】1982年 トヨタ自動車株式会社 入社
製造・技術部門にて現場の経験を積んだ後、カイゼンの本流であるTQM(Total Quality Management) 推進部(業務品質改善部)にて室長・主査を務める。トヨタ流マネジメントやトヨタ流カイゼン/価値創造の良さを、トヨタ社内のみならず広く世間に伝えたいという思いから、トヨタ自動車を退職後、幅広い分野で活躍。
現在は企業や教育機関にて、それぞれの特性に合わせた「トヨタ流カイゼン」教育の指導者として、「カイゼン」「問題解決」「マネジメント」等の研修にも登壇し、活躍の場を広げる。

藤原:みなさんこんにちは。講師の藤原です。このコラムでは、「トヨタ流仕事の形(カタ)研修」という新たな研修について解説しています。今回解説するのは、形(カタ)研修の中でも、最終段階の「価値創造実践編(4・革新のカタ)」についてです。

「価値創造=新たなアイデア出し」に苦手意識をもつ人は少なくありません。また多くの企業では、柔軟なアイデアを出すだけでなく、それを実行・実践できる人材を育成したいと考えています。

ちょっとここで本題に入る前に、みなさんから「なぜこの研修は、仕事で即実践できるのか?」という質問をよくいただくので、まずはそれにお答えしたいと思います。「研修は即実践できなければ意味がない」と私は常々思っていて、即仕事に生かせる研修の手法をさまざまな角度から検証してきました。そこで行き着いたのがこの研修方法です。

形(カタ)研修では、仕事を効率良く進められる方法を「見える化しながら学び」、それを「仕事で即実践できる」よう講義を進めますが、そこではQ&Aの記入形式になったオリジナルの「ツール」を多く使います。「ツール」には問題や課題を解決するために必要なQが順序立てて書かれています。そのQに対するAを、自身やチームで一つひとつ深く考えることで仕事上の解決策が洗い出せ、即、仕事につなげられる、という仕組みになっています。また、ツールはさまざまな問題・課題に応用して使うことができるのもポイントです。 過去のコラムに「トヨタ流仕事の形(カタ)研修」が生まれたきっかけとともに基本実践編を紹介しているページや、課題解決をテーマにした応用実践編を紹介したページもありますのでぜひ参考にしてください。

さて、本題である「価値創造実践編(4・革新のカタ)」研修について解説していきましょう。どんな企業や部署でも、ある程度、問題や課題が解決されると(ときには決されていなくても)、「新しい何か」に着手しなければならないというテーマが生まれます。企業が成長するためには新規事業への挑戦や新規の商品開発は不可欠だからです。

しかし「何かをしなければいけないのはわかるが、何をやればいいのか案が浮かばない」という方は多いでしょう。当たり前ですね。コロナ禍を経て常識すら変化した今の時代、新たなことへの挑戦はほとんどの企業で苦戦、暗中模索しています。また、上司と部下の価値観の差や「これまでの常識」と「これからの常識」をどう捉えるかでも考え方は変わるため、幹部や上司も「どう指示したらいいのか分からない」というのが本音ではないでしょうか。

ここでみなさんにお伺いします。

●「何か新しいこと考えてよ」

●「何か新しいアイデアはないの?」 

上司からこう言われたことがある、もしくは自分から言ったことがある方はいらっしゃいますか?どうでしょうか。

私の経験からすると、ほとんどの方が言われたことがある、もしくは言ったことがあるはずです。もちろん、新たなことを考えることは大切ですしとても良いことですが、しっかりとしたテーマが思いつかなければ、言われた方は困ってしまいます。

もし「チャンスだ。よし、一発いい案を出してやろう!」と意気込んだとしても、上司から「根拠や事例がない」「いまやるべきことは、そこではない」などとダメ出しされ意気消沈…なんてケースも多いはずです。斬新なアイデアを会議で披露し、「おお、いいね!」と皆からウケてそのノリのまま進んでも、結果が出せずに尻すぼみ…というケースはきっと皆さんの身近にもあるのではないでしょうか。

そうしたケースを多く見る中で、私はいかに「新しい何か」の「核心」に沿って価値創造を進めることが重要か、そしてその「核心」を見つけるためにはまず「目的を洗い出す」ことが重要だということに気づいたのです。

自分の会社や部署にとって、「新たな価値を生み出す目的」をしっかり理解することは、新たな事業を検証するだけでなく、既存事業の強みや市場優位性の再認識にもつながります。また上司と部下、もしくはチームでそれらの「目的」を共有することで、ブレのない効率的な価値創造が可能になります。

研修では、ツールを使って「新規事業開始時期」や「対象地域」など基本的な事項を確認しながら、新規事業の「目的」を、「価値追加」や「価値拡大」など大きく5つに分けた「目的区分」の中から選び、その目的に合った手法でアイデア出しを行っていきます。

「価値創造実践編(革新の形)研修」では、目的に合わせたアイデア出しの発想法などを学ぶことができ、
さらに新規アイデアの事業化スケジュール策定までを細かく、具体的に行います。

こうして闇雲にアイデアを出すのではなく、一つずつ根拠を「見える化」しながら「新しい何か」を探すことは、新たな価値創造の成功への最短距離を見つけることにつながります。また研修が即、仕事で活かせるよう、新規事業のアイデア出しの手法などを学んだ後、事業化へのシナリオやスケジュールの策定までを学べるのもポイントです。

さらに「価値創造」は業種・業態によって幅が大きいため、「価値創造実践編(革新の形)研修」は業種・業態に合わせてカスタマイズした内容で進めることも可能ですので、そのあたりも安心していただけると思います。もちろん、クリエイティブ系の仕事でも同様に活用することができます。

また、事業化へのシナリオなどまで考える「価値創造実践編(革新の形)研修」は、コンサルティング会社への相談と同様のように思われる方もいるかもしれません。その違いについても少しご説明しましょう。この研修の強みは「自ら考え、乗り越える力を身につける」ことです。

私は多くの企業のさまざまな相談に応えていますが、「コンサルに相談したが、うまくいかなかった」というような声を多く耳にしています。しかしそうした不満を抱える企業の問題点を紐解くと、問題・課題や解決策をすべて丸投げしてしまう点にあるように思います。そうならないためには、まず、自社内で「考える力=乗り越える力」をつけることが重要だと思うのです。

何か新しいことを生み出す作業は大変で、私自身も苦手分野の一つでした。しかし、「目的に応じた視点と手順」が重要なポイントだと気づいてからは、創造が楽しいものになりました。皆さんも一緒に、楽しむ気持ちで未来を創造しましょう。

ご質問やご相談だけでも構いません。お話を聞いた上で、最適な研修プランをご提案いたします。

まずはお気軽にお問合せください。

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