〜「トヨタ流 業務効率化」とDXの融合で未来へ!〜
PROFILE
藤原 慎太郎(ふじはら しんたろう)
国立大学法人名古屋工業大学 創造工学教育推進センター 特任教授
【略歴】1982年 トヨタ自動車株式会社 入社
製造・技術部門にて現場の経験を積んだ後、カイゼンの本流であるTQM(Total Quality Management) 推進部(業務品質改善部)にて室長・主査を務める。トヨタ流マネジメントやトヨタ流カイゼン/価値創造の良さを、トヨタ社内のみならず広く世間に伝えたいという思いから、トヨタ自動車を退職後、幅広い分野で活躍。
現在は企業や教育機関にて、それぞれの特性に合わせた「トヨタ流カイゼン」教育の指導者として、「カイゼン」「問題解決」「マネジメント」等の研修にも登壇し、活躍の場を広げる。
藤原:みなさんこんにちは。講師の藤原です。今回は25年5月に新しくラインナップに加わったばかりの新作研修『【7時間研修】業務効率化の上手な進め方 ~トヨタ生産方式の考え方で、仕事の生産性向上を目指す~』についてお話しします。
もともと業務効率化研修には、トヨタ生産方式の考え方を活用して効率化の具体的な進め方を学ぶ『3時間研修』がありましたが、「考え方を学ぶだけでなく、効率化の定着・継続を目指したい」「日々の業務内で改善意識や仕事の取り組み方を植え付けたい、効率化を会社の風土として浸透させたい」という要望を受け、新に7時間研修をリリースしました。
『7時間研修』は演習を通じて自業務をテーマに実行計画を作り、職場に戻って即・業務効率化を進められる「実践型研修」ですので、特に業務効率化の推進リーダーや、自ら業務内容に合わせて改善案や実行計画を考えたい方におすすめです。
◆『7時間研修』と『3時間研修』、何が違う?
従来の3時間研修では、会社や部署で目指すべき「業務効率化の本当の目的とは何か?」という根本を探りながら「対象業務の選定ポイント」や「効率化するための視点」などを理解していただいていましたが、7時間研修ではそれに加えて、業務効率化の「企画立案の手法」さらに「実行計画づくりのポイント」までを演習を通じて実践的に学んでいきます。
ここでポイントとなるのは、この7時間研修の演習題材には「ケーススタディ」を用いないということ。事例を用いる「ケーススタディ」でも学ぶべき点は多くありますが、実際のところ、それに全てを自分にあてはめようとしてもどうしても無理が出て、思うように実践出来ないという問題が起こりがちです。当たり前ですよね。仕事の種類はもちろん、仕事のバックグラウンドや環境は千差万別ですし、目指すべき姿もそれぞれの形があるでしょう。また目指すべき姿は、より具体化・明確化することこそ重要で、それが目指すべき姿に近づく最短距離だと言っても過言ではありません。
私はトヨタ自動車時代の経験から「研修=即実践できるものであるべき」というポリシーを持っていますが、この研修では特にご自身の業務や職場の業務をテーマにした「自分事の演習」を行うため、現場での業務効率化の即実践につなげていただくことができます。
もう一つの特長として、この研修では質問の書かれたツールを使いながら演習を行っていきますが、このツールは現場で何度でも活かすことができ、こちらも好評をいただいています。例えば研修では冒頭で業務効率化とは? 効率化を行う業務の選定ポイントは? などを学んだ後、自身の問題やテーマに沿って選定した業務の全体像と改善・改革したいことを書き出します。書き出したものは参加者同士で共有するため、ほかの人がどんなテーマを持っているのか、またどんな仕事の進め方をしているのかなどをお互いに知ることができるのもポイントとなります。

◆すべての業種に活かせる、トヨタ生産方式(TPS)の考え方を活用した業務効率化とは?
ここからは、「トヨタ流」ならではの研修の特長と、それがなぜ今の時代に活かせるのか少し深掘りしたいと思います。本研修は、トヨタ生産方式(TPS)の考え方を活用して業務効率化を計画・実行する研修です。TPSの2本柱ともいえる「ジャスト・イン・タイム」と「自働化」の基本的な考え方に沿いながらも、時代や環境の変化と業種・業態などのニーズに合わせた内容にアレンジされています。
◆「ジャスト・イン・タイム」と「自働化」、実現するのは「ムダ・ムリ・ムラ」の徹底排除
「ジャスト・イン・タイム」が目指すのは、読んで字のごとく、必要なものを必要な時・必要なだけつくること。これは一見、当たり前で単純なことのように思えます。しかし仕事は複雑に絡み合っていることが多く、全ての工程・作業において「ジャスト・イン・タイム」を実現するのは至難の業で、繰り返しの改善・改革が不可欠です。
トヨタにおける自働化は、にんべんのついた「自働化」と呼ばれ、漢字は「自動」ではなく「自働」。単にオートメーション化するという意味ではなく、「異常がわかり・異常で止まる」ことにより不良品をつくらないこと、さらに「人を機械の番人にしない」という意味が込められています。そしてこれを実現するために不変的で重要な考え方となっているのが「ムダ・ムリ・ムラ」の徹底排除です。

「ジャスト・イン・タイム」や「自働化」はもともと製造工場で生まれたものですが、トヨタが世界的に成長した大きな要因となりました。研修ではこの手法を製造現場以外のどんな職種でも使えるよう、「スタッフの頭の中の仕事(全体像や業務プロセス)」の見える化を行いながら、「ムダ・ムラ・ムリ」を見つける視点(改善)や改善・改革したい部分(攻め所)を明確にし、対策を考えるという流れにしています。


◆『トヨタ流 業務効率化』は製造業以外でも有効?
この研修に限らず、トヨタ流の研修全般で受ける質問ですが、皆さんが気にされるのは、「製造業以外の業種でこの研修を生かすことができるか」という点です。
答えは、もちろん可能です。業務改善研修は製造業以外のサービスや営業・販売・事務系など、幅広い業種に対応できるようアレンジされています。例えば、工程や手順などの「業務プロセス」を見える化することは業務効率化において必須ですが、製造業以外では、工程が「担当者の頭の中」にしかないことも多くあります。研修ではそれをいかに「見える化して共有するか」という手法も学びながら、チームとして議論する演習なども行います。研修では下図のようなステップを踏みながら、改善すべき点の洗い出しを行います。
このほか、「ムダ・ムリ・ムラ」を見つける視点や、対策ヒントなども具体的に解説します。下の図はその一例です。

◆トヨタ生産方式(TPS)の考え方 × DXの融合で実現する、さらなる効率化
「業務効率化」の研修に対するリクエストの一つとして「デジタル技術を導入したい」という声も多くいただきます。DX化を喫緊の課題にしている企業も多く、きっと皆さんが気にされている部分でもあると思います。私はDXに代表される最近のデジタル技術は「ジャスト・イン・タイム」や「自働化」を実現するために大変有効な方法だと考えており、研修ではデジタル技術の活用方針や戦略なども学んでいただきます。

さらにここでは詳細まではお見せできませんが、「主なデジタル技術とその活用先」の一覧なども使用しながら、実際の仕事にどんなデジタル技術を活かせるのか、具体的な技術や用途・活用事例もしっかり学んでいただくことができます。
上にも書きましたが、私はデジタル技術の導入と併行して、トヨタ生産方式の考え方や手法を学ぶことは非常に有用だと考えています。というのも、デジタル技術とはいっても結局はそれを使いこなす人材を育てなくては意味がないからです。これはデジタル技術そのものを使いこなすという意味ではなく、業務の工数を削減またはスピードアップさせ、生産性を高めるための業務改善・改革を行うための考え方をしっかり理解・体得し、デジタル技術も駆使して生産性向上、さらには価値創造を実践できる人材につなげられる人材を多く育てるという意味です。トヨタ生産方式(TPS)の考え方とDXの融合では、これまでにないさらなる効率化が大きく期待されています。
長いスパンで考えたとき、今こうした人材を増やすことこそが、企業の未来に大きく左右すると私は考えています。
◆研修の受講そのものにも「ムダ・ムラ・ムリ」をなくしたい!
ここで、研修を受けた方からの声を少し紹介したいと思います。
●研修は「自分の職場に持ち帰ったときに、どう使えるか?」という視点の講義や、事例を交えた解説・演習が多く、自分の業務で即実践できた。
●実務にすぐ落し込むことのできる内容だった。日々の業務に追われ時間に余裕がない状況だからこそ、トヨタ生産方式(TPS)と目的発想法の考え方を活かして改善改革していきたい。
●トヨタで実際に使われているトヨタ生産方式(TPS)の考え方を活用した講義は分かりやすかった。また、実行計画づくりの演習も「仕事のカタ」の要点に添って考えながら進めるので、迷うことなく進めることができた。「仕事のカタ」についても学んでみたいと思った。
この研修では業務効率化の実践方法を中心に学びますが、PDCA の具体的な実践方法を身につける「トヨタ流仕事のカタ研修」や、上司や周囲の理解を深められるコミュニケーション力向上(研修はお問い合わせください)なども併せて受講されると、より有効的だと思っています。
私のポリシーは机上の空論で終わらない即・実践できる研修ですが、研修を受けていただく皆さんにとって「ムダ・ムラ・ムリ」のない研修でなければならないとも思っています。
だからこそ、皆さんの貴重な時間を最大限に活かせるよう、今後も「現場で使える」「すぐに実行できる」内容にこだわり続けていきます。
あなたの職場の改善の第一歩として、ぜひ一緒に学んでいきましょう!
「業務効率化を定着・継続を目指したい」「企業風土として浸透させたい」とお考えの方、自職場において業務効率化の推進リーダーとなる立場の方はぜひ一度「お問合せ」より、どうぞお気軽にご相談ください!