株式会社トヨタエンタプライズ

第5回:新作研修「問題解決研修 基礎編 ~8ステップと考え方~」は「風土改革」・「人財育成」に直結する!

カテゴリー:

問題解決

キーワード:

人材育成問題解決心理的安全性課題解決風土改革

2024.08.22

このたび内容をリニューアルした「問題解決研修 基礎編 ~8ステップと考え方~」を講師が解説します!

PROFILE

藤原 慎太郎(ふじはら しんたろう
国立大学法人名古屋工業大学 創造工学教育推進センター 特任教授
【略歴】1982年 トヨタ自動車株式会社 入社
製造・技術部門にて現場の経験を積んだ後、カイゼンの本流であるTQM(Total Quality Management) 推進部(業務品質改善部)にて室長・主査を務める。トヨタ流マネジメントやトヨタ流カイゼン/価値創造の良さを、トヨタ社内のみならず広く世間に伝えたいという思いから、トヨタ自動車を退職後、幅広い分野で活躍。
現在は企業や教育機関にて、それぞれの特性に合わせた「トヨタ流カイゼン」教育の指導者として、「カイゼン」「問題解決」「マネジメント」等の研修にも登壇し、活躍の場を広げる。

藤原:みなさんこんにちは、講師の藤原です。今回のコラムでは、リニューアルした「問題解決研修 基礎編 ~8ステップと考え方~」についてお話ししようと思います。

お陰さまで「問題解決研修」は人気の研修となり、多くの企業に採用していただいています。この研修では、トヨタ流の基本的な「問題解決」の考え方を「8つのステップ」を通して学びながら多角的な演習を行いますが、なぜトヨタが「問題解決」をここまで大切にしてきたか、そしてそれがトヨタの成長にどうつながったのかも深掘りし、お伝えしています。

また要望の多かった「問題解決研修をあらゆる業種・業態でも活用できるようにして欲しい」という声にお応えするため、それぞれの業態・業種に必要なポイントをおさえて「カイゼンサイクル」を学ぶことができるようになった点も大きなポイントです。ここでは簡単にトヨタ流「問題解決研修」ではどんなことを学んでいるかを説明しながら、トヨタ流の研修は何が違うのか? トヨタ流の研修なら何を体得することができるのか?を解説したいと思います。

上の「8つのステップ」はトヨタ流の問題解決法の一つとして広く知られ、今も世界中のトヨタで実践されています。ステップにおける考え方のコツ・秘訣までしっかり明文化(文章化)しています。これによって研修内容を職場で応用するときも、方向性を見間違うことなく問題解決につなげやすくなりました。一日間(7時間研修)では演習を多く織り込み、一人ひとり、個人の問題に当てはめた実践もしやすくなっています。

そしてこれは大きなポイントですが、トヨタ流「問題解決」は、ツールや手順を使うという「手法」ではなく「考え方」ということです。たとえば、思考の枠組みを考える「フレームワーク」の構築法や、論理的思考法ともいわれる「ロジカルシンキング」など、問題解決の手段と呼ばれるものは数多く存在します。もちろん、それらの手法を知ることは仕事を効率的に進めるために重要ですが、「一人ひとりが別々に」それを行って「その場、その場」で問題をクリアしたとしても、なかなか問題の根本を解決することにはつながらないのが実情です。また、同様の問題が再発しやすいというデメリットもあります。

これは医学的な「対症療法」と「原因療法」の違いにも似ています。「対症療法」は現れている症状を改善する治療法で、頭痛の際に鎮痛剤を飲むのはまさにこれ。根本の原因を取り除く訳ではありません。対して「原因療法」は病気の原因を取り除き、根治をめざす治療です。でももし頭痛の原因が深刻な病気だった場合、鎮痛剤でごまかし続けていたらどんなことになるか…。答えは火を見るより明らかですね。仕事も同じです。

またトヨタ流の「問題解決」は英語では、「Toyota Business Practice(トヨタ ビジネス プラクティス)/TBP」と表現します。直訳で考えれば「Toyota Problem Solutions(トヨタ プロブレム ソリューションズ」となりそうですが、「ソリューションズ(解決・解答)」を使わず「プラクティス(実践)」としているところからも、トヨタのこだわりを感じるように思います。

問題は解決したら再発させず、恒久的な改善につなげることが重要ですが、まさにトヨタ流「問題解決」は、その場をしのぐ手法や対症療法ではなく、原因を探り、日常の行動に実践を落とし込んで根本から解決する「原因療法」だといえます。

もう一つ、トヨタと一般企業の大きな違いに、カイゼンやその考え方などの研修が教育体系にしっかり組み込まれているという点があります。

トヨタでは管理職から新入社員に至るまで、階層別の教育体系が完備されています。こうした研修を通じて全ての従業員が考え方や手順に必要な「共通言語」を理解していくため、仕事はスピーディーで間違いも少なくなり、めざす方向性のブレも小さくなります。

たとえばトヨタの社内では、3現主義=「現地」「現物」「現実」や、「なぜなぜ5回」などの共通言語がありますが、何か問題が起きた際「3現主義は守られているか?」と言われるだけで、その指摘の背景にあるものまで瞬時に理解することができます。残念ながらそれでも間違いは起きますが、トヨタの右肩上がりの成長の持続は、間違いやブレを最小限でとどめていることに結びつくのは間違いありません。

さらにこうした考え方や教育体系は、トヨタ本体に限らず関連企業にも浸透。グループ全体で「共通言語を体得」することでトヨタ系企業の風土・体質を向上させ、グループパワーとしての莫大な強みにつなげているのです。

これは私見ですが、トヨタがこだわっている問題解決のポイントは以下の5つだと思います。

企業の人事部の方から、「自社にトヨタ流「問題解決」を取り入れ、効果を出すことはできるでしょうか?」という質問をいただくことがありますが、答えは「YES」です。あらゆる業種・業態で可能です。この事例などは、別の機会に詳しくお話ししたいと思います。

また、「問題解決研修を受けてみたいが、新人や中間管理職など、どの層に研修を受講してもらうのがよいか?」という質問をいただくことがあります。そんなときは「できればすべての層に受講していただき、社内で共通認識をもっていただくのが効率的」だとお答えしています。

重要なのは組織全体で問題解決を実践する職場風土を醸成するため、それに必要な「共通言語」を多く構築していくかです。仕事のすすめ方に、「共通の認識=共通言語」があれば、ブレのないスピーディーなやりとりができますし、ヌケモレやミスに気づき、早期解決することができます。

そして問題解決の考え方が定着すれば、上司・先輩から部下・後輩へとつなげていく社内教育が可能になり、それはトヨタでも「教え・教えられる」文化として継承・実践されています。

「問題解決研修 基礎編 ~8ステップと考え方~」を実際に受講した方からは、こんなコメントを頂いています。

人材育成や風土改革を推進する企業は多くありますが、私はそのポイントになるのは、実は「考え方の習慣化」だと思っています。

問題解決に向け、一つひとつ、手順を考えながら答えを求めるのは慣れるまでは面倒に思えますが、習慣になれば条件反射的に問題解決の考え方や手順が湧いてくるようになります。そして、それが体得できれば上流から下流へ指導できるというグッドサイクルへとつながります。

また、共通言語を使った仕事の進め方は、組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる「心理的安全性」にもつながると、私は確信しています。

ご質問やご相談だけでも構いません。お話を聞いた上で、最適な研修プランをご提案いたします。まずはお気軽にお問合せください。

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