第6回:問題解決研修に対する質問に講師が回答!「問題解決のスキル向上」で、仕事力も生きる力も強くする!
カテゴリー:
問題解決
キーワード:
人材育成問題解決心理的安全性課題解決風土改革
2024.10.31
リニューアルし、よりわかりやすくなったと好評の『問題解決研修 基礎編 ~8ステップと考え方~』。今回は「よくある質問」や、「研修導入のポイント」、そして「問題解決スキル」を身につけるメリットなどを解説します。
PROFILE
藤原 慎太郎(ふじはら しんたろう)
国立大学法人名古屋工業大学 創造工学教育推進センター 特任教授
【略歴】1982年 トヨタ自動車株式会社 入社
製造・技術部門にて現場の経験を積んだ後、カイゼンの本流であるTQM(Total Quality Management) 推進部(業務品質改善部)にて室長・主査を務める。トヨタ流マネジメントやトヨタ流カイゼン/価値創造の良さを、トヨタ社内のみならず広く世間に伝えたいという思いから、トヨタ自動車を退職後、幅広い分野で活躍。
現在は企業や教育機関にて、それぞれの特性に合わせた「トヨタ流カイゼン」教育の指導者として、「カイゼン」「問題解決」「マネジメント」等の研修にも登壇し、活躍の場を広げる。
◆問題解決研修に対する疑問・質問にお答えします!
藤原:みなさんこんにちは。講師の藤原です。私は研修講師を担当する中で、多くの企業の担当者から質問・相談を受けますが、最も多くいただく質問が『問題解決研修 基礎編 〜8ステップと考え方~』に関連する事柄です。
本年度リニューアルしてからは、より多くの質問をいただくようになりましたので、今回はそれらをまとめて回答したいと思います。研修を受けるならどんなタイミングがいい? どの階層に取り入れる?それはどのような効果につながる…? 今回のコラムでは、こうした悩みや疑問にお答えします。
Q.『問題解決 基礎編 ~8ステップと考え方~』には7時間研修と4時間研修があるが、その違いは?
A. リニューアルした『問題解決研修 基礎編 ~8ステップと考え方~』では、1日かけて行う「7時間研修」と、半日で行う「4時間研修」の2つをご用意しています。
【7時間研修】
7時間研修では、トヨタ流の問題解決の基本となる「8ステップ」の手法に従って、実際に「演習」を行いながら進めます。与えられた課題に向かって、実際に考える「演習」は、研修そのものを深く理解するだけでなく、「見えていない課題」や「表向きの原因とは異なる真因」を発見する手法を学ぶことにもつながり、即戦力アップにも有効的です。
【4時間研修】
半日の4時間研修は、7時間研修の内容を集約したダイジェスト版です。そのため演習はなく、テキストとスライドなどによる解説で研修を進めます。4時間研修は、トヨタ流の問題解決法をある程度ご存じで再確認されたい方や、どうしても忙しくて時間が取れず、短時間でポイントを理解したい、という方のためなどにご用意したものです。
以上の2つがありますが、やはりおすすめは「演習」のある7時間研修。演習を行うことで、研修の核心部分を体得しやすく、また研修での学びを自分の仕事上でも活用しやすくなります。
Q.「演習」を使って学ぶとありますが、具体的にどんな内容ですか?
A. わかりやすいように、実際に使う演習問題を少しだけここでご紹介しましょう。今回ご紹介するのはStep1「問題の明確化」、基本中の基本の部分です。
●Step1「問題の明確化」の演習では
・「問題」を明確化することの必要性
・「問題」=「現状」と「あるべき姿」のギャップであること
この2点を理解することがポイントです。
●まず、「あなたが経理担当者で、請求処理においてイレギュラー処理を改善する場合、どう対処しますか?」という例題のもと、「現状」「問題(ギャップ)」「あるべき姿」の青い四角の中に想定される事柄を埋め込んでもらいます。すると、ほとんどの人からは以下のような回答が返ってきます。
しかし、①から③に書かれた答えは
・①曖昧な現状
・②問題(ギャップ)というより、その対策
・③曖昧な理想
でしかありません。
そこで、トヨタ流で問題解決を行う場合はどんな「現状」「問題(ギャップ)」「あるべき姿」になるか、スライドで答えを見てみます。
トヨタ流の問題解決では、「現状」「問題(ギャップ)」「あるべき姿」のそれぞれをしっかり数値化するのが特長です。数値で表すことで、共通の「ものさし」ができ、「関係者間で認識の違いが出にくい」というメリットにもつながります。そして、ここまでできて初めて、「あるべき姿」をめざすために本当に必要な「具体的手段・手法」が見えてくるはずです。
演習は「目的・目標」が知らない間に「手段」にすり替わってしまうなど、仕事上で陥りやすい点を中心に行うのもポイントです。 もちろん「自分の仕事でどう活用できるか」までを学ぶこともできます。
Q.トヨタではよく、「A3資料」に要点をまとめて仕事を進めると聞きます。こういった内容も研修に含まれますか?
A. はい、A3資料のまとめ方は研修でも演習に取り入れています。トヨタでは、仕事を進める際にA3の資料にまとめることがよくありますが、ここで「A3資料の魅力」は何だろう?を改めて考えてみます。A3資料作成の手法が選ばれるメリットは、次の3点です。
①一覧性
・1枚で全てがわかる「一覧性」があり、資料1枚あれば、「全てのこと」が「誰にでも理解」できる。
②限られたスペース
・「A3(もしくは1画面)の限られたスペースの中で、重要なポイントを絞る」。新しい仕事のたびにこれを繰り返すことで、何が一番大切なのかを常に考える訓練につながり、ブレが起こりにくくなる。
③次世代への伝承
・わかりやすい資料にまとめて記録・保存することで、後輩や次世代へ伝承しやすい。
パワーポイントなどで資料をまとめてももちろん一定の効果はありますが、こうした資料づくりではどうしても資料枚数が多くなりがち。何十枚にもわたる企画書を、あなたもきっと目にしたことがあると思います。またパワポなどのアプリに頼った資料作りは、余分な装飾など本来の目的とは違う「情緒」に訴える部分に時間を割いてしまうことも少なくありません。
ここで改めてA3資料の魅力について考えてみましたが、効率良く「目的〜標準化」までを一覧化するだけでなく、それを周囲と共有でき、さらにその都度資料を見て振り返りながら「日々の仕事の中で生かすこともできる。私は、A3資料にまとめる仕事の進め方は、とても理にかなった手法だと思っています。
Q.『問題解決研修 基礎編 ~8ステップと考え方~』は、新入社員でも理解できる内容ですか?
A. はい、もちろんです。私はこの研修に類似した内容で、大学の学生に指導することもありますが「TOEICの得点を上げる」「部活の成果を出す」「サークルの人数を増やす」など学生の身近な悩みを課題として演習を行うと、多くの学生たちはその演習をきっかけに悩みを解決につなげています。
この例からもわかる通り、研修は「自分ごと」として置き換えやすく、新入社員でも十分に理解・実践することが可能です。
Q.階層別研修への導入を検討しているが、どの層から取り込めばよいですか?
A. 私は企業にとって重要なのは全ての社員(できれば関係各社まで)が理解できる「共通言語」が多くなることだと考えています。たとえば、トヨタでは「カイゼン」が「共通言語」となっていますが、それは単なる語句として理解されているのではありません。何かの問題に対して「カイゼン」と言われた場合、そこにいる人は「カイゼン」のひと言で、その目的や考え方、そして目的にたどりつく手法などまでが頭に浮かんでいるのです。これこそがめざすべき「共通言語」です。
この「共通言語」が生まれると、仕事を効率的に、そしてブレなく進めることができます。
こうした例でわかるように、問題解決研修は、最終的には全階層の社員が受講し、それが「風土」になることが理想ですが、まずは上層部から順に、問題解決の考え方や手順を理解していただき、順次広げていってもよいと思います。
また、「共通言語」をつくりあげる、という意味では、「職場(部署)単位」の研修も有効的です。
Q.『問題解決研修 基礎編 ~8ステップと考え方~』のフォローアップにつながる研修プログラムはありますか?
A. 『問題解決研修 基礎編 ~8ステップと考え方~』に続く「応用編」には多くのリクエストをいただいており、現在開発中です。リリースができ次第、こちらのコラムでも紹介していきます。
一歩進んで、具体的な仕事の段取りや実行について学びたいという方には、『トヨタ流仕事のカタ 基本実践編』がおすすめです。
◆ ◆ ◆
「問題を解決する」=「あるべき姿を探す」ことは、「仕事そのもの」です。自分自身の目標や悩みにも当てはめることができます。
先日、研修を受けたある企業の方から「社員に『効率良く仕事を進めてもらいたい』という理由から研修を受けてもらいましたが、まず大切なのはしっかりと『あるべき姿』を理解することだと自分自身も気づかされ、目からうろこが落ちるようでした」という感想をいただきました。まさにその通りで、決して「効率良く仕事をすること」が会社の目的ではないはずです。
私は、「あるべき姿を常に意識」できる「問題解決のスキル向上」は、仕事をする上、さらには生きていく上でかなり有効的だと考えています。
環境変化のスピードが格段に速くなっている昨今、「いま、あるべき姿」をその都度確認すること、そしてそれを瞬時にジャッジできる上層部がいること、それがこの先を生き残るために必要なことだと思っています。
リニューアルした「問題解決研修 基礎編 ~8ステップと考え方~」によくいただく質問に対する、藤原講師の解説、いかがでしたでしょうか。問題解決研修について、さらに詳しく知りたい・自社の業務とマッチングするか等のご相談がございましたら、お気軽に「問合せフォーム」よりご連絡ください!
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