対症療法ではなく原因療法を。トヨタ流研修を提案する若手営業社員の思い

トヨタ流研修をはじめさまざまな研修の提案営業を行っているトヨタエンタプライズ広域営業部の若手社員インタビューです。研修のメリットや導入事例について聞きました。

「人材育成やキャリア支援のために社員研修を行っても、社員はやらされ感があり、なおかつ成果も出ない…」とお悩みの人事担当者の方もいることでしょう。もしかすると「今抱えている問題を解決するために、どういった研修が必要なのか」について、今一度問い直してみるのが良いのかもしれません。根本から問題を解決したいお客様には、トヨタ流の考え方を活かした社員研修をおすすめします。
この記事では、実際にトヨタ流研修をはじめとしたさまざまな研修の提案営業を行う若手社員の二人に、研修のメリットや導入の成果などについて話を聞きました。

<プロフィール>
S.Tさん(広域営業部 営業室 営業グループ)
2023年度新卒入社。趣味はバスケットボール観戦。
Y.Oさん(広域営業部 営業室 営業グループ)
2023年度中途入社。趣味は卓球、ロードバイク、ランニングなど

「お客様と課題に向き合って伴走しながら、どのような層を対象に研修していくのかについてしっかりとご提案できたことは、とても印象に残っています」とS.Tさん(以下Tさん)はさわやかな笑顔で語ります。
彼は、2023年度新卒入社の社員。みずからを「ポジティブであきらめない人間」だと評します。バスケットボールなどのチームスポーツに長く取り組み、チーム一丸で奮闘する経験を積んできたこともあって、社会人になってからは、人の役に立ちたいとの想いがいっそう強まったとのこと。
入社して数年経ち、後輩社員の育成も求められていることに強い責任感を持って自走している様子。そうはいいながらも社内外で何かと愛される(イジられる?)、天性の愛されキャラです。

一方、「お客様からは、今まで考えてなかった自組織の課題について目を向けることができた、という感謝のお言葉をいただきました。『聞くだけでなく、受講者に考えさせる研修なのがすごく良かった』とも」と嬉しそうに話すのは、同じ部署のY.Oさん(以下Oさん)。
2年前に中途入社した彼女も、体を動かすことが大好きです。卓球の社会人クラブチームに所属し、毎週のように練習や試合に精を出しているのだとか。トヨタグループの駅伝大会にも参加しているというスポーツウーマンは「雑草のように粘り強い人間だといわれます。ガッツだけはあります」と、話しぶりから謙虚で真面目そうな一面が垣間見えました。
また、推しのアイドルの話をしはじめると止まらないところに、彼女の「誰かを支えたい気持ち」の強さが表れています。

トヨタ流問題解決では、「現状」と「あるべき姿」のギャップを「問題」と捉えます。
「お客様は何かしらの問題を解決したいから、問い合わせくださっています。だからこそ、こちらが『この研修を』と思い込みや決めつけで、一方的に提案してしまわないようにしたい。お客様のお悩みをしっかりとヒアリングして一緒に課題に取り組むよう、傾聴のスタンスを心掛けています」(Oさん)

では、彼らのような営業社員が考える、トヨタ流研修の強みとは何なのでしょうか?
Tさんは「トヨタで実際に現場を見てきたOBを中心とした講師と、トヨタ製造現場の考え方を事務系などさまざまな仕事に活かしていただける実践的なカリキュラムや演習」を挙げます。
Oさんも「研修の成果というのは、客観的にわかりにくいと思う」とした上で「トヨタ流研修はトヨタの現場で実際に行われている考え方を活かした内容なので、説得力がある」と力強く語りました。
とはいえ、奥が深いのがトヨタ流研修。二人も「自分たちも日々、カイゼンの気持ちを忘れずに取り組んでいる」のだそう。「自分自身が知識として理解したと思うことは多いのですが、問題解決の8ステップひとつにしても、お客様に表面的に説明するのではなく理解してもらおうとすると、一筋縄ではいかないです」と告白するTさんに、Oさんもこう賛同します。
「お客様に魅力を感じてもらうためには、自分もわかったつもりではなく、もっと深いところで理解していかなければ…」
彼らはまだまだ、現状に満足していません。自分たちのトヨタ流研修の強みの伝え方には、カイゼンできる余地があるのだと――。
そう、自分自身の課題について「なぜ?どうして?」と問い続け、PDCAを回す習慣が身に付いているようです。

実際にトヨタ流研修を導入したお客様には、どのような反響や効果があったのかも気になるところです。
数十社を担当するTさんは、ある製造業のお客様から相談を受けたときのことを振り返ります。「課長クラスの方からのお問い合わせで、『経営層が会社全体の問題解決能力に悩みを抱えている』とご相談をいただきました」それまでは自社で社員研修に取り組んでいたものの、職層ごとにスポットで行っていたため、効果が表れにくかったとのこと。
対症療法的にではなく、お客様が抱えている問題の原因を発見し、解決したいと感じました。社員の共通言語としての問題解決の考え方を学びたいとのことだったので、問題解決研修 基礎編 ~8ステップと考え方~を提案し、100名ぐらいの管理職の方々に受けていただきました」
研修後、社会人の大ベテランである管理職の方々に「ここまで深く問題解決の考え方について学べて良かった。今後は学んだことを実務に落とし込んだり、自分のチームの部下に教えたりするためにしっかり復習する」と言ってもらえたと、Tさんは嬉しそうに語ります。

Oさんも「社員の業務量が多く、残業時間が増えているのが悩み」とお客様から相談を受け、トヨタ流研修を提案しました。当初は希望者のみの受講だったのが「自分の普段の業務に落とし込んで、グループで考えて議論する演習」などの内容を高く評価され、「他の職層、特に若い社員全員にも受けてもらうべきだ」となり、毎年の定期開催が決まったのだとか。

なぜトヨタ流研修が評価されるのか。それは「即座に実務に活かせる」という受講者のメリットがはっきりしているからなのは、もちろん言うまでもないでしょう。
それに加えて「なぜ、この研修が必要なのか?」という目的意識が、二人のような営業社員とお客様との間で、しっかりと共有されているからなのかもしれません。

Oさんはいいます。「『社員の成長のために研修を実施したい』という会社側の想いと『忙しい業務スケジュールの中で、さらに研修を受講しなければならない』という受講者側の想い、この双方の認識が食い違ってしまうのが一番もったいない」と。
「だから、会社としても『会社は社員の皆さんにこれぐらい期待しています、だからこの研修を受けてもらっているのです』と受講者に意図や目的を理解してもらえば、受講者の皆さんも『自分もこんなに期待されているのなら、もっとがんばらなきゃ』と前向きに取り組んでくれるんじゃないかと。…そんなマインドがもっと浸透すればいいなと思っています」(Oさん)

二人は、多くの社員研修が対症療法的に行われてしまっていることを危惧しています。だからこそ彼らはトヨタ流の「なぜなぜ分析」を駆使しながら、お客様の組織が抱えている問題の真因を発見して、目的を明確にした研修を提案しているのです。

彼ら若手二人が、お客様から最近よく受ける相談は、「若手社員について」なのだとか。
「最近は『若手社員が受け身で困っているが、何か指導してハラスメント扱いされるのも困る。何をどこまで指導したらいいのかわからない』というお悩みをよく相談されます。若手社員にモチベーションアップ研修を受けてもらうのはもちろん、その若手社員が働きやすい職場環境も重要だと思っているので、職場風土の研修を提案することもあります」(Tさん)

管理職の方々の『若手の育成に課題感がある』というお悩みを深掘りすると、実は上司世代・若手世代、双方のコミュニケーションの問題に行き着くことも。そんなときは、世代間のコミュニケーションを円滑に行うための「モノの言い方や伝え方」の研修などを提案しています。世代間コミュニケーションに関する課題は、私自身も「自分事」として感じる場面があります。上司世代・若手世代双方にとって最善な解決策を、研修でご提案していきたいと思っています」(Oさん)

今は、未曾有の人口減少時代。働き手不足や離職対策のほか、リーダー育成など、人事系のお悩みは決して尽きることがありません。一方で、働き方は多様化し、これまでの経験則がなかなか通用しなくなってきています。彼らは、社会人として大先輩にあたる人事・研修担当の方々が抱えるさまざまな人事的課題に、日々寄り添っています

彼らは、これからどのように成長していきたいと考えているのでしょうか。 「当たり前のこととして、いただいたお悩みの解決のため、最善の提案ができるようにと心掛けています。さらにプラスアルファでお客様に喜んでいただけるよう、まだ言語化されてないこと、表面化してない問題までも汲み取りたいと思っています。人手不足や人材採用・育成についての問題を抱えている人事系のお客様のため、もっとその分野の知識を身に付けていきたい」と、真剣な面持ちで語るOさん。

一方のTさんは「自分は…貫禄を付けたいですね」と茶目っ気のある笑顔でいいます。これは単なる冗談ではなく、心身ともに信頼される人間になり、お客様からもっと頼りにされたい――という彼なりの正直な表現。Tさんは最後に、こう締めくくってくれました。
「どんな問題でも、とにかくまずは相談していただきたいです。問題の真因が明確になっている方々はもちろん、現段階で表面化している問題でも、どんなことに課題感をお持ちか、どのような組織を目指したいか、お話を聞かせてください。お客様と一緒に伴走しながら、背景にある真因を掘り下げて、それに対する最適な解決策を提案していきたいですね」

対症療法的な対策ではなく、そもそもの「目的」と「あるべき姿」にこだわる。その上で、問題を確実に解決する「考え方」を養い、実践していく。それがトヨタ流のカイゼン(問題解決)です。
広域営業部の二人は、これからもさまざまなお客様の問題解決のために、東奔西走していきます。そう、彼ら自身もまた、日々地道なカイゼンに取り組みながら

写真:髙橋学(アニマート)

第8回:新作研修『【7時間研修】業務効率化の上手な進め方』を講師が解説!

〜「トヨタ流 業務効率化」とDXの融合で未来へ!〜

PROFILE

藤原 慎太郎(ふじはら しんたろう
国立大学法人名古屋工業大学 創造工学教育推進センター 特任教授
【略歴】1982年 トヨタ自動車株式会社 入社
製造・技術部門にて現場の経験を積んだ後、カイゼンの本流であるTQM(Total Quality Management) 推進部(業務品質改善部)にて室長・主査を務める。トヨタ流マネジメントやトヨタ流カイゼン/価値創造の良さを、トヨタ社内のみならず広く世間に伝えたいという思いから、トヨタ自動車を退職後、幅広い分野で活躍。
現在は企業や教育機関にて、それぞれの特性に合わせた「トヨタ流カイゼン」教育の指導者として、「カイゼン」「問題解決」「マネジメント」等の研修にも登壇し、活躍の場を広げる。

藤原:みなさんこんにちは。講師の藤原です。今回は25年5月に新しくラインナップに加わったばかりの新作研修【7時間研修】業務効率化の上手な進め方 ~トヨタ生産方式の考え方で、仕事の生産性向上を目指す~』についてお話しします。

もともと業務効率化研修には、トヨタ生産方式の考え方を活用して効率化の具体的な進め方を学ぶ『3時間研修』がありましたが、「考え方を学ぶだけでなく、効率化の定着・継続を目指したい」「日々の業務内で改善意識や仕事の取り組み方を植え付けたい、効率化を会社の風土として浸透させたい」という要望を受け、新に7時間研修をリリースしました。

『7時間研修』は演習を通じて自業務をテーマに実行計画を作り、職場に戻って即・業務効率化を進められる「実践型研修」ですので、特に業務効率化の推進リーダーや、自ら業務内容に合わせて改善案や実行計画を考えたい方におすすめです。

従来の3時間研修では、会社や部署で目指すべき「業務効率化の本当の目的とは何か?」という根本を探りながら「対象業務の選定ポイント」や「効率化するための視点」などを理解していただいていましたが、7時間研修ではそれに加えて、業務効率化の「企画立案の手法」さらに「実行計画づくりのポイント」までを演習を通じて実践的に学んでいきます。
ここでポイントとなるのは、この7時間研修の演習題材には「ケーススタディ」を用いないということ。事例を用いる「ケーススタディ」でも学ぶべき点は多くありますが、実際のところ、それに全てを自分にあてはめようとしてもどうしても無理が出て、思うように実践出来ないという問題が起こりがちです。当たり前ですよね。仕事の種類はもちろん、仕事のバックグラウンドや環境は千差万別ですし、目指すべき姿もそれぞれの形があるでしょう。また目指すべき姿は、より具体化・明確化することこそ重要で、それが目指すべき姿に近づく最短距離だと言っても過言ではありません。

私はトヨタ自動車時代の経験から「研修=即実践できるものであるべき」というポリシーを持っていますが、この研修では特にご自身の業務や職場の業務をテーマにした「自分事の演習」を行うため、現場での業務効率化の即実践につなげていただくことができます。
もう一つの特長として、この研修では質問の書かれたツールを使いながら演習を行っていきますが、このツールは現場で何度でも活かすことができ、こちらも好評をいただいています。例えば研修では冒頭で業務効率化とは? 効率化を行う業務の選定ポイントは? などを学んだ後、自身の問題やテーマに沿って選定した業務の全体像と改善・改革したいことを書き出します。書き出したものは参加者同士で共有するため、ほかの人がどんなテーマを持っているのか、またどんな仕事の進め方をしているのかなどをお互いに知ることができるのもポイントとなります。

ここからは、「トヨタ流」ならではの研修の特長と、それがなぜ今の時代に活かせるのか少し深掘りしたいと思います。本研修は、トヨタ生産方式(TPS)の考え方を活用して業務効率化を計画・実行する研修です。TPSの2本柱ともいえる「ジャスト・イン・タイム」と「自働化」の基本的な考え方に沿いながらも、時代や環境の変化と業種・業態などのニーズに合わせた内容にアレンジされています。

「ジャスト・イン・タイム」が目指すのは、読んで字のごとく、必要なものを必要な時・必要なだけつくること。これは一見、当たり前で単純なことのように思えます。しかし仕事は複雑に絡み合っていることが多く、全ての工程・作業において「ジャスト・イン・タイム」を実現するのは至難の業で、繰り返しの改善・改革が不可欠です。
トヨタにおける自働化は、にんべんのついた「自働化」と呼ばれ、漢字は「自動」ではなく「自働」。単にオートメーション化するという意味ではなく、「異常がわかり・異常で止まる」ことにより不良品をつくらないこと、さらに「人を機械の番人にしない」という意味が込められています。そしてこれを実現するために不変的で重要な考え方となっているのが「ムダ・ムリ・ムラ」の徹底排除です。


「ジャスト・イン・タイム」や「自働化」はもともと製造工場で生まれたものですが、トヨタが世界的に成長した大きな要因となりました。研修ではこの手法を製造現場以外のどんな職種でも使えるよう、「スタッフの頭の中の仕事(全体像や業務プロセス)」の見える化を行いながら、「ムダ・ムラ・ムリ」を見つける視点(改善)や改善・改革したい部分(攻め所)を明確にし、対策を考えるという流れにしています。

この研修に限らず、トヨタ流の研修全般で受ける質問ですが、皆さんが気にされるのは、製造業以外の業種でこの研修を生かすことができるか」という点です。

答えは、もちろん可能です。業務改善研修は製造業以外のサービスや営業・販売・事務系など、幅広い業種に対応できるようアレンジされています。例えば、工程や手順などの「業務プロセス」を見える化することは業務効率化において必須ですが、製造業以外では、工程が「担当者の頭の中」にしかないことも多くあります。研修ではそれをいかに「見える化して共有するか」という手法も学びながら、チームとして議論する演習なども行います。研修では下図のようなステップを踏みながら、改善すべき点の洗い出しを行います。

このほか、「ムダ・ムリ・ムラ」を見つける視点や、対策ヒントなども具体的に解説します。下の図はその一例です。

「業務効率化」の研修に対するリクエストの一つとして「デジタル技術を導入したい」という声も多くいただきます。DX化を喫緊の課題にしている企業も多く、きっと皆さんが気にされている部分でもあると思います。私はDXに代表される最近のデジタル技術は「ジャスト・イン・タイム」や「自働化」を実現するために大変有効な方法だと考えており、研修ではデジタル技術の活用方針や戦略なども学んでいただきます。

さらにここでは詳細まではお見せできませんが、「主なデジタル技術とその活用先」の一覧なども使用しながら、実際の仕事にどんなデジタル技術を活かせるのか、具体的な技術や用途・活用事例もしっかり学んでいただくことができます。

上にも書きましたが、私はデジタル技術の導入と併行して、トヨタ生産方式の考え方や手法を学ぶことは非常に有用だと考えています。というのも、デジタル技術とはいっても結局はそれを使いこなす人材を育てなくては意味がないからです。これはデジタル技術そのものを使いこなすという意味ではなく、業務の工数を削減またはスピードアップさせ、生産性を高めるための業務改善・改革を行うための考え方をしっかり理解・体得し、デジタル技術も駆使して生産性向上、さらには価値創造を実践できる人材につなげられる人材を多く育てるという意味です。トヨタ生産方式(TPS)の考え方とDXの融合では、これまでにないさらなる効率化が大きく期待されています。
長いスパンで考えたとき、今こうした人材を増やすことこそが、企業の未来に大きく左右すると私は考えています。

ここで、研修を受けた方からの声を少し紹介したいと思います。

研修は「自分の職場に持ち帰ったときに、どう使えるか?」という視点の講義や、事例を交えた解説・演習が多く、自分の業務で即実践できた

●実務にすぐ落し込むことのできる内容だった。日々の業務に追われ時間に余裕がない状況だからこそ、トヨタ生産方式(TPS)と目的発想法の考え方を活かして改善改革していきたい

●トヨタで実際に使われているトヨタ生産方式(TPS)の考え方を活用した講義は分かりやすかった。また、実行計画づくりの演習も「仕事のカタ」の要点に添って考えながら進めるので、迷うことなく進めることができた。「仕事のカタ」についても学んでみたいと思った

この研修では業務効率化の実践方法を中心に学びますが、PDCA の具体的な実践方法を身につけるトヨタ流仕事のカタ研修」や、上司や周囲の理解を深められるコミュニケーション力向上(研修はお問い合わせください)なども併せて受講されると、より有効的だと思っています。
私のポリシーは机上の空論で終わらない即・実践できる研修ですが、研修を受けていただく皆さんにとって「ムダ・ムラ・ムリ」のない研修でなければならないとも思っています。
だからこそ、皆さんの貴重な時間を最大限に活かせるよう、今後も「現場で使える」「すぐに実行できる」内容にこだわり続けていきます。
あなたの職場の改善の第一歩として、ぜひ一緒に学んでいきましょう!

第5回:新作研修「問題解決研修 基礎編 ~8ステップと考え方~」は「風土改革」・「人財育成」に直結する!

このたび内容をリニューアルした「問題解決研修 基礎編 ~8ステップと考え方~」を講師が解説します!

PROFILE

藤原 慎太郎(ふじはら しんたろう
国立大学法人名古屋工業大学 創造工学教育推進センター 特任教授
【略歴】1982年 トヨタ自動車株式会社 入社
製造・技術部門にて現場の経験を積んだ後、カイゼンの本流であるTQM(Total Quality Management) 推進部(業務品質改善部)にて室長・主査を務める。トヨタ流マネジメントやトヨタ流カイゼン/価値創造の良さを、トヨタ社内のみならず広く世間に伝えたいという思いから、トヨタ自動車を退職後、幅広い分野で活躍。
現在は企業や教育機関にて、それぞれの特性に合わせた「トヨタ流カイゼン」教育の指導者として、「カイゼン」「問題解決」「マネジメント」等の研修にも登壇し、活躍の場を広げる。

藤原:みなさんこんにちは、講師の藤原です。今回のコラムでは、リニューアルした「問題解決研修 基礎編 ~8ステップと考え方~」についてお話ししようと思います。

お陰さまで「問題解決研修」は人気の研修となり、多くの企業に採用していただいています。この研修では、トヨタ流の基本的な「問題解決」の考え方を「8つのステップ」を通して学びながら多角的な演習を行いますが、なぜトヨタが「問題解決」をここまで大切にしてきたか、そしてそれがトヨタの成長にどうつながったのかも深掘りし、お伝えしています。

また要望の多かった「問題解決研修をあらゆる業種・業態でも活用できるようにして欲しい」という声にお応えするため、それぞれの業態・業種に必要なポイントをおさえて「カイゼンサイクル」を学ぶことができるようになった点も大きなポイントです。ここでは簡単にトヨタ流「問題解決研修」ではどんなことを学んでいるかを説明しながら、トヨタ流の研修は何が違うのか? トヨタ流の研修なら何を体得することができるのか?を解説したいと思います。

上の「8つのステップ」はトヨタ流の問題解決法の一つとして広く知られ、今も世界中のトヨタで実践されています。ステップにおける考え方のコツ・秘訣までしっかり明文化(文章化)しています。これによって研修内容を職場で応用するときも、方向性を見間違うことなく問題解決につなげやすくなりました。一日間(7時間研修)では演習を多く織り込み、一人ひとり、個人の問題に当てはめた実践もしやすくなっています。

そしてこれは大きなポイントですが、トヨタ流「問題解決」は、ツールや手順を使うという「手法」ではなく「考え方」ということです。たとえば、思考の枠組みを考える「フレームワーク」の構築法や、論理的思考法ともいわれる「ロジカルシンキング」など、問題解決の手段と呼ばれるものは数多く存在します。もちろん、それらの手法を知ることは仕事を効率的に進めるために重要ですが、「一人ひとりが別々に」それを行って「その場、その場」で問題をクリアしたとしても、なかなか問題の根本を解決することにはつながらないのが実情です。また、同様の問題が再発しやすいというデメリットもあります。

これは医学的な「対症療法」と「原因療法」の違いにも似ています。「対症療法」は現れている症状を改善する治療法で、頭痛の際に鎮痛剤を飲むのはまさにこれ。根本の原因を取り除く訳ではありません。対して「原因療法」は病気の原因を取り除き、根治をめざす治療です。でももし頭痛の原因が深刻な病気だった場合、鎮痛剤でごまかし続けていたらどんなことになるか…。答えは火を見るより明らかですね。仕事も同じです。

またトヨタ流の「問題解決」は英語では、「Toyota Business Practice(トヨタ ビジネス プラクティス)/TBP」と表現します。直訳で考えれば「Toyota Problem Solutions(トヨタ プロブレム ソリューションズ」となりそうですが、「ソリューションズ(解決・解答)」を使わず「プラクティス(実践)」としているところからも、トヨタのこだわりを感じるように思います。

問題は解決したら再発させず、恒久的な改善につなげることが重要ですが、まさにトヨタ流「問題解決」は、その場をしのぐ手法や対症療法ではなく、原因を探り、日常の行動に実践を落とし込んで根本から解決する「原因療法」だといえます。

もう一つ、トヨタと一般企業の大きな違いに、カイゼンやその考え方などの研修が教育体系にしっかり組み込まれているという点があります。

トヨタでは管理職から新入社員に至るまで、階層別の教育体系が完備されています。こうした研修を通じて全ての従業員が考え方や手順に必要な「共通言語」を理解していくため、仕事はスピーディーで間違いも少なくなり、めざす方向性のブレも小さくなります。

たとえばトヨタの社内では、3現主義=「現地」「現物」「現実」や、「なぜなぜ5回」などの共通言語がありますが、何か問題が起きた際「3現主義は守られているか?」と言われるだけで、その指摘の背景にあるものまで瞬時に理解することができます。残念ながらそれでも間違いは起きますが、トヨタの右肩上がりの成長の持続は、間違いやブレを最小限でとどめていることに結びつくのは間違いありません。

さらにこうした考え方や教育体系は、トヨタ本体に限らず関連企業にも浸透。グループ全体で「共通言語を体得」することでトヨタ系企業の風土・体質を向上させ、グループパワーとしての莫大な強みにつなげているのです。

これは私見ですが、トヨタがこだわっている問題解決のポイントは以下の5つだと思います。

企業の人事部の方から、「自社にトヨタ流「問題解決」を取り入れ、効果を出すことはできるでしょうか?」という質問をいただくことがありますが、答えは「YES」です。あらゆる業種・業態で可能です。この事例などは、別の機会に詳しくお話ししたいと思います。

また、「問題解決研修を受けてみたいが、新人や中間管理職など、どの層に研修を受講してもらうのがよいか?」という質問をいただくことがあります。そんなときは「できればすべての層に受講していただき、社内で共通認識をもっていただくのが効率的」だとお答えしています。

重要なのは組織全体で問題解決を実践する職場風土を醸成するため、それに必要な「共通言語」を多く構築していくかです。仕事のすすめ方に、「共通の認識=共通言語」があれば、ブレのないスピーディーなやりとりができますし、ヌケモレやミスに気づき、早期解決することができます。

そして問題解決の考え方が定着すれば、上司・先輩から部下・後輩へとつなげていく社内教育が可能になり、それはトヨタでも「教え・教えられる」文化として継承・実践されています。

「問題解決研修 基礎編 ~8ステップと考え方~」を実際に受講した方からは、こんなコメントを頂いています。

人材育成や風土改革を推進する企業は多くありますが、私はそのポイントになるのは、実は「考え方の習慣化」だと思っています。

問題解決に向け、一つひとつ、手順を考えながら答えを求めるのは慣れるまでは面倒に思えますが、習慣になれば条件反射的に問題解決の考え方や手順が湧いてくるようになります。そして、それが体得できれば上流から下流へ指導できるというグッドサイクルへとつながります。

また、共通言語を使った仕事の進め方は、組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる「心理的安全性」にもつながると、私は確信しています。

ご質問やご相談だけでも構いません。お話を聞いた上で、最適な研修プランをご提案いたします。まずはお気軽にお問合せください。